赤松政経塾
2017.02.21
赤松良子さん、87歳。労働省婦人局長時代に『男女雇用機会均等法』を制定させたキーマンであり、その後、文部大臣も務められた方です。現在も様々な場面でご活躍でいらっしゃいます。
赤松さんが主催する赤松政経塾では、毎回、政治家を始め映画監督や会社経営者など、様々な方のお話を伺いますが、前回は約17年前に放映されたNHK番組『プロジェクトX〜女たちの10年戦争〜雇用機会均等法誕生」が上映されました。昭和61年に「男女雇用機会均等法』が制定されるまでの経緯が描かれた番組でしたが、改めて当時の女性たちの苦労を知り、涙があふれるほど感動をいたしました。
今の若い方はもう信じられないかもしれませんが、その当時は、女性は会社に採用されてもお茶出しが大事な仕事で、職場には女性が男性と同等であるという概念はまるでなく、「結婚したとき、30歳になったら退職する」という規定がまかりとおっておりました。
働きたい女性が当たり前に働ける時代にしたいという一念で、赤松さんは準備室発足の段階から指揮をとっておられましたが、審議会の委員のみならず関係各所のコンセンサスを得ていくのは容易ではなく、法案の諮問に至るまでは本当に苦難の連続だったそうです。赤松さんは反対意見の強かった経済界を説得するために連日訪問し続け、ついには声がでなくなったこともあったそうです。そして、本当は「採用・昇進等での男女の機会均等を義務」と明記したかったが、反対側も受け入れ可能な「努力義務」にとどめる内容で法案をまとめ上げました。
ただ、そうなると今度は女性労働者代表側の委員が納得せず、法案を諮問する予定であった審議会の最終日に同委員は欠席することを通告してきたそうです。さすがの赤松さんも、この時ばかりは辞任も覚悟したそうですが、最後の最後に同委員に電話をかけ、「この法案は不完全ではあるが、制定することにこそ大きな意義がある」と伝え出席を促したそうです。同委員は無言で電話をきったが、審議会には出席され、法案は無事に諮問されたとのことです。その後、両議院でも承認されて昭和61年4月に施行され、いわゆる女性総合職が誕生することになりました。
その後、『雇用機会均等法』は平成9年に改正されるなどして、性別にかかわりなく均等な機会を与える義務や差別的取り扱いの禁止義務が明記された現在の姿になりました。
世の中のことはすべて経緯があるわけですが、いわゆる潮目が変わった時には、特別に強い「思い」を持つ人物が関わっていることが殆どです。しかし、ともすると、その「思い」は時間の流れとともに薄らいでいってしまいます。時には振り返り「思い」を再認識する必要もあると思います。この番組は現在の若い女性のみならず若い男性にも、是非、見てもらいたい内容だと思いました。
「命ある限りもう少し社会の役にたちたい」と言い切る赤松さん。小さなお体ですのに、「思い」を貫いた女性の強さが全身から滲み出ていてまぶしい限りです。赤松政経塾は参加する度に大きなパワーをもらえます。
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『相澤法律事務所』 弁護士 相澤愛
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民事信託~財産管理と資産承継の手段として~
2017.02.08
私は東京練馬西ロータリークラブに所属しているのですが、年に1回、卓話の順番が回ってきます。
先日、「民事信託」をテーマにお話をさせていただきました。
変更をプレビュー
お話しした内容をぎゅっと凝縮して、ご紹介したいと思います。
1 はじめに 続きを読む
不動産所得者のための講習会
2015.12.18
ここへきて急に冬らしい気候になりました。
今朝の練馬はかなり冷え込みました。
先日、練馬西青色申告会で「不動産所得者のための講習会」で
講師をつとめてまいりました。
練馬はまだまだ従前からの地主さんが多数おられる地域でもあり、
賃貸業を営んでおられる方を対象とした講習会です。
今年で4年目、今回も満席でした。
毎回参加してくださる受講生の方もおられ、皆様の関心の高さを感じております。
第1回目と第2回目の講習会は「家賃滞納に対する対応」をテーマに、
第3回目は「賃借人の用法違反に対する対応」をテーマにしましたが、
今回は「更新拒絶にまつわる諸問題」というテーマでお話しいたしました。
賃貸借契約は長期継続的な契約関係を前提としており、
賃貸人がいったん物件を貸してしまえば、賃借人がルールを遵守する限り、
おいそれと賃貸借契約を終了させることはできません。
更新拒絶をするにしても「正当理由」が認められなければなりませんし、
「正当理由」はかなり限定的であると考えてよいでしょう。
物件が老朽化すれば、修繕義務も顕在化してきますし、賃料も値下げの方向になるし、
賃貸人として負担もいろいろと増えてくるものです。
ならばいっそ賃借人に退去してもらって物件を新しく立て替えて収益性を改善したい、
と考えても、そう簡単には賃貸借契約を終了させることはできません。
毎回の講習会では、結局のところ、賃貸人の権利を実現するためには、
要件が意外に厳しかったり、費用や手間がかかったりします・・
ということをお話せざるを得ず、
大家さんには気持ちを引き締めてお帰りいただくことになります。
賃貸業は、順調に推移している間は問題ないのですが、
色々な局面で問題が生じる可能性は否定できません。
その際は、どうぞ早め早めのご相談を心がけてくださいね。
憲法週間
2014.05.02
今日は,東京都心で今年最初の夏日となったそうです。
日差しの眩しさに目がくらみそうになりながら有楽町線の桜田門駅から地上に出て
裁判所に向かいましたが,今日はひときわ法務省旧本館が堂々と見えました。
青い空に赤レンガがよく映えて,青々と茂ってきた街路樹の緑ともよく調和しています。
仕事を忘れてしばし眺めていると,
どこかのヨーロッパの街に疑似旅行に来た気分にもなります。
視線をずらすと,その先には,東京地方裁判所。
そうです,やはり気分を仕事モードに戻さなければなりませんね。
この赤レンガ棟は,明治28年,ドイツ人建築家により司法省として竣工されたものですが,
その後,第二次世界大戦でほとんどが焼失したそうです。
戦後,復旧工事が行われたのですが,明治28年の創建当時の姿に復原するために,
平成3年~6年まで復原工事が進められ,現在の威容を示す建物となりました。
ドイツ・ネオバロック様式を含む赤れんが棟の外観は,
平成6年12月に国の重要文化財に指定されているそうです。
法務省のHPには詳細が説明され,当時の写真も掲載されており,大変興味深いです。
法の歴史を振り返ると,先人達が重ね続けてきたものの重みを感じざるを得ません。
折しも,明日は5月3日の憲法記念日。
そして,5月1日から7日までの1週間は「憲法週間」と定められています。
憲法に関して色々な考えが表明されるようになってきましたが,
この機会に,憲法の定める国民主権,平和主義と基本的人権の尊重を定めた
日本国憲法の意義や憲法の精神を改めて考えてみたいものです。
10月1日は「法の日」
2013.10.02
平成25年度も後半に突入しました。
学生の制服も冬服に変わると、いよいよ秋本番だなあ、と感じます。
ところで、10月1日は「法の日」とされていますが、このことは案外知られていないようです。
かくいう私も、どうして10月1日 ? と疑問でしたが、愛知県弁護士会のHPに
以下のようにわかりやすく説明してありました。
『「法の日」は、1928年10月1日に陪審法が施行されたことによって、
翌1929年から10月1日を「司法記念日」と定めたことに由来します。
また、1947年10月1日は、最高裁判所発足後、最高裁判所で初めて法廷が開かれた日です。
1959年10月3日、裁判所、検察庁、弁護士会の三者会議によって、
10月1日を「法の日」と定めることの提唱が決議され、
翌1960年6月24日の閣議了解で、「国民主権のもとに、国をあげて法を尊重し、
法によって基本的権利を擁護し、法によって社会秩序を確立する精神を高揚するため
「法の日」を創設する」と定められました。』
なるほど、10月1日はいろいろと法制度と所縁があったのですね。
10月1日から1週間は、裁判所や法務所、弁護士会でもさまざまな見学会などが
あるそうです。
事前の申し込みも必要ですが、最高裁判所では、大法廷や小法廷の見学のほか,
法服を着て裁判官席に座り,記念撮影をすることができるそうです。
最高裁の裁判官席で記念撮影なんてすごいですね!
私も一度は参加してみたいものです!
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婚外子の相続差別規定は違憲
2013.09.05
9月4日、最高裁判所大法廷は、婚外子(非嫡出子)の相続分を嫡出子の半分とする
民法900条4号但書部分(本件規定)は違憲であるとの判断しました。
正確にいえば、平成13年、嫡出子が非嫡出子に対し申し立てた遺産分割審判事件に関連し、
遺産分割審判に対して抗告が申し立てられたが、同抗告が棄却される決定が出され、
その後、同抗告棄却決定に対して特別抗告が申し立てられたことを受け、
今般、最高裁判所大法廷が同抗告棄却決定を破棄するとの判断を示したということになります。
当事者にとっては、 足掛け12年に及ぶ裁判の結果、ついに、大きな判断が示されたということになります。
最高裁判所の考え方の要旨は次のとおりです。
相続制度は、国の伝統や社会事情、国民感情のほか、婚姻や親子関係への意識や規律を
綜合的に考慮したうえで、どのように定めるかは立法府の裁量に委ねられている。
しかし、立法府の裁量権を考慮しても合理的な根拠が認められない場合は憲法違反もありうる。
↓
本件規定の制定後、家族という共同体における個人の尊重がより明確に認識されてきた。
そして、父母が婚姻関係になかったという、子自らが選択や修正する余地のない事柄を
理由に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、その権利を保障すべき
であるという考え方が確立してきた。
↓
以上を総合すると遅くとも本件で問題となった相続が始まった平成13年7月当時において、
相続分を区別する本件規定は合理的根拠が失われており、本件規定は憲法に違反していたと
いうべきである。
最高裁大法廷の決定の全文を読みますと、昭和22年の民法改正時から現在に至るまでの
社会の動向、家族形態の多様化や国民意識の変化、諸外国の立法のすう勢、日本が批准した条約の内容、
法制等の変化、最高裁においてこれまで指摘された補足意見等々について詳細な検討がなされており、
今般の最高裁の判断に至った経緯が明確になっています。
皆さんはこの最高裁の決定をどのようにとらえられますでしょうか。
本件非嫡出子側は「幸せ」と、嫡出子側は「絶望」と対照的なコメントを出されていました。
ただでさえ感情的にも激しい対立が避けられない相続問題に加えて、
家族観や道徳観が絡む点も否めませんので、私の周りでも賛否両論、さまざまな意見が出ているようです。
ともあれ、 今後は、最高裁の決定を前提に法律改正の動きも出ることでしょう。
弁護士としては、嫡出子側、非嫡出子側のいずれの側での案件にも携われることがあります。
同決定の重みを十分に理解したうえで、事件処理を進めていきたいと思います。
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『無料法律相談会』のお知らせ
2009.03.27
4月15日は「良い遺言の日」というのをご存じでしたか。
当事務所では、「良い遺言の日」にちなんで、下記の要領で、
「遺言」や「相続関係」に関する無料法律相談を実施することに
いたしました。
日頃、「遺言」や「相続関係」についてお悩みを抱えておられる方、
是非、一度法律相談にいらしてください。
「地域の法律アドバイザー」として、お一人でも多くの方の
お役にたてればいいなあ、と思っています。
記
日 時:平成21年4月18日(土) 午前10時から午後5時
場 所:相澤法律事務所 https://www.aizawa-law.jp
相談時間:お一人様 約45分間
※必ず、事前に、お電話にてご予約をお取りください。
※お申し込みが定員に達した場合には、ご予約をお断りする
ことがあります。
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道交法改正
2008.06.03
なんとも雨の日の多かった5月でしたが、
とうとう梅雨入りしましたね。
平年より6日早いそうです。
昨日の月曜日は衣替えの時期と重なりましたが、
せっかくの半袖姿が肌寒く感じられました。
さて、昨日6月1日から改正道路交通法が施行されました。
主な改正点は、以下の4つになります。
1つ目が、悪質・危険運転者対策です。
飲酒運転に対する制裁がさらに厳しくなりました。
2つ目が、高齢運転者対策です。
75歳以上の高齢運転者の運転時に、高齢者運転者標識
(いわゆるもみじマーク)の表示が義務付けられました。
ただ、1年間は、違反者を摘発せず、指導に止めるとのことです。
3つ目が、自転車利用者対策です。
車道通行の原則を残しつつ、自転車が例外的に歩道通行
できる要件を明確化しました。
また、児童・幼児の自転車乗用時における乗車用ヘルメットの
着用については努力義務となりました。
4つ目が、被害軽減対策です。
後部座席のシートベルトが着用義務となりました。
ただ、当面、高速道路上での違反のみ摘発するようです。
どれも大切な改正点です。
皆さんの年齢や状況に応じて、きちんと守っていきましょう。
すべてが自分や大切な人の命を守るルールですから。
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正当防衛
2008.05.22
Aが先に手を出したところ、Bが反撃してきました。
Aは、Bの反撃に対しさらに暴行を加え、Bに傷害を負わせてしまいました。
傷害罪に問われたAには正当防衛が成立するでしょうか。
自分の不正行為が招いた侵害に対して正当防衛が成立するかどうか、という問題は、かつてから刑法の論点として有名でしたが、平成20年5月20日、最高裁判所が、正当防衛は成立しないという初めての判断を下しました。
言ってみればこれだけの結論なのですが、具体的な事実関係をご紹介しましょう。
午後7時30分、B(51歳)は自転車にまたがりながら、路上のごみ集積所にごみを捨てていました。
そこへ帰宅途中のA(41歳)が通りかかります。
Bの姿を不審に思ったAが声をかけたところAとBは言い争いになります。
そしてAはBの左ほおを手けんで一発殴打して走り去ろうとしました。
ところが、Bもそれだけではすみません。
自転車でAを追いかけ、背後からA強く殴打し、Aを押し倒します。
倒れたAは、護身用の特殊警棒を取り出し、Bの顔面や腕などを数回殴打し、Bに顔面挫創、左手小指骨折など3週間の加療を要する傷害を負わせました。
この事案、いかが思われましたか。
きっかけはたいしたことではありません。
大の大人が、たかがごみ出しのことで喧嘩になり、
しまいには、特殊警棒までが出てくるのですから、
全くわからないものです。
結局、どっちもどっちなのですが、
一般的な感覚からしても、正当防衛が成立しないという結論は、
受け入れられるものではないでしょうか。
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反対尋問
2008.05.12
尋問には、おもに、主尋問と反対尋問があります。
主尋問は、事前のリハーサルを十分に行っていますから、
当然うまくいくわけです。
しかし、反対尋問が成功するのは大変に難しいものです。
反対尋問において、こちら側の意図することを積極的に言わせるのは至難の業であり、証人の言っていることが矛盾しているということを示せるだけで成功と評価されます。
せっかく証人から自己矛盾の供述を引き出したとしても、「なぜ、あなたは、さっき・・・言ったのですか?」と念押ししてはいけません。「なぜ?」と問うた途端、証人は、自己矛盾証言をもっともらしい理由で説明してしまうからです。
このように、反対尋問で「なぜ?」と問うことは禁句とされているのですが、「なぜ?」と問うて成功した例として有名な話が伝わっています。
アメリカ合衆国の第16代大統領のエイブラハム・リンカーンは、大統領になる前は弁護士をしていましたが、殺人の疑いをかけられたアームストロングの弁護を頼まれたことがありました。
アームストロングが、真夜中に被害者に向けて銃を発射したという様子を目撃したという証人に対する反対尋問でのやりとりです。
リンカーン 「あなたは、すぐ近くで目撃したのですか?」
目撃証人 「いいえ、4分3マイル離れていました。」
リンカーン 「殺人現場は、見通しの良いところですか?」
目撃証人 「ぶなの林の中です。」
リンカーン 「なぜ、真夜中に、しかも、ぶなの林の中の行動が見えたのですか?」
目撃証人 「その日は満月でしたからよく見えました。」
リンカーン (おもむろに月暦の本を取り出し、証人に示しながら)
「殺人があった当日を見てください。この日は、『新月』となっていますね。」
目撃証人 「・・・はい。」
このように、証人に嘘を重ねさせ、さらに最後の最後に、「なぜ?」とダメ押しをさせ、その上で、突き崩す・・・さすが、リンカーンはお見事です。
このように、最後に確信があれば、証人を追い詰めて矛盾を明らかにし、その証人の信用性を一挙に崩すというのは、まさに反対尋問の醍醐味なのです。
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