立退交渉と弁護士法
先般、東証2部上場の不動産・建設会社「スルガコーポレーション」が所有したビルの立ち退き交渉が弁護士法違反であったと報道されました。
この報道を契機として、おつきあいのある不動産会社の方々から、「弁護士以外は立ち退き業務をやれないのですか?」などと質問をいただくことが続きました。
弁護士法72条は、弁護士資格を持たないものが、報酬を得る目的で、訴訟事件やその他一般の法律事件に関して代理や和解その他の法律事務を取り扱ってはいけないという原則を定めています。
弁護士資格を持たないものが、報酬を得る目的で、上記の法律事件等を代理等することは、いわゆる「非弁活動」として禁止されているわけです。
具体例を調べてみると、「賃貸人の代理人として、その賃借人らとの間で建物の賃貸借契約を合意解除し、当該賃借人らに建物から退去して明渡してもらう事務をすること」は、上記弁護士法72条に違反するとした裁判例がありました(広島高決平成4年3月6日)。
法律事務の範囲や反復継続性の解釈にもかかってきますので、一概にはいえませんが、やはり、賃貸物件の明渡しの交渉は原則として弁護士が担うべきということになります。
もっとも、破産管財人をやっていると、複数の業者から「破産物件の売却から明渡しまでなんでもやります」といった趣旨のFAXがたくさん届くのですが、中には、弁護士法違反若しくはグレーゾーンでは?と首をかしげたくなる業者さんがおられるのも現実です。
立ち退き・明渡し業務を解決する専門家へのニーズがあるにもかかわらず、弁護士が対応できていないから、といった指摘も一理あるように思います。
現在、弁護士が増加しておりますが、そのうちに「立ち退き専門弁護士」というカテゴリーもでてくるかもしれません。
当事務所は、「立ち退き専門」ではありませんが、もちろん、明渡し、退去・立ち退き等についても、取り扱っております。
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『相澤法律事務所』 弁護士 相澤愛
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