あの「少年A」も、今はよきパパに。
1月もあっというまに半分が過ぎましたが、
お正月にいただいた年賀状をもう一度読み返してみました。
いただいてうれしい年賀状の中に、以前、担当した事件のクライアントからの近況報告があります。
事件の渦中にいて大変だったあの時のあの人も、今は、平穏に暮らしていると伺うと、私の方まで幸せをわけてもらった気がします。
そんなお便りの中から、思い出の事件をご紹介しましょう。
・・・あれはかれこれ10年近く前、私にとって初めての少年事件でした。
東京のとある町で、多感な思春期の真っ只中にいた高校生A君は、つきあっていた彼女を妊娠させてしまい、親に言い出すことができず、数日間、友達の家を渡り歩きました。その間、手持ちのお金も底をつき、地元の悪い仲間の言葉に気を大きくし、仲間数名で、バイクに乗り、後方から夜道を歩いている女性の手提げカバンをひったくろうとしたのです。女性は転倒し傷害を負いました。
当然のことながら、A君は、『強盗致傷罪』に該当するとして、逮捕されました。
どんなワルがいるのだろうと、少々覚悟して警察署に接見にいくと、そこには、繊細なごく普通の少年が座っていました。反省文を書いてもらうと、とてもしっかりした字で、自分の過ちについて深く反省している様子も十分に伺えました。
A君の両親とも面談しましたが、とてもA君のことを愛しており、A君の環境整備については骨身を惜しまない対応をされました。
A君の行った行為は決して許すことはできないのですが、A君の将来と家族のために、私も、駆けずり回って被害者の方とお話をさせていただき、無事に示談を成立させました。
審判の結果、A君は保護観察となり、美容師になるため、働きながら勉強し、しばらく後、見事、夢を実現しました。
今年の年賀状には、そんなA君が、結婚して父親になった、とありました。
A君は、私の記憶の中では、まだ、繊細な高校生のままですが、きっと、あの時、自分を見守ってくれた両親のように、愛情あふれる父親になることでしょう。
少年は、「可塑性(かそせい)に富む」と言われています。
体と心の成長の過程で、道を外れることもありますが、
でも、きちんとした対応をとることで、また素敵な大人に成長していくチャンスはあるのです。
そんな場面に立ち会える少年事件は、弁護士としても大きなやりがいを感じるのです。
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『相澤法律事務所』 弁護士 相澤愛
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